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雲の向こうにいる人
- 6月7日
- 読了時間: 1分
更新日:6月7日
先日、ウジェーヌ・ブーダン展を訪れる。
展示室に並ぶ作品を見ながら、ふと不思議な感覚に包まれた。
描かれた空の雲が、生きていた。
もちろん実際に動いているわけではない。
けれど、その雲は確かに風を受け、流れ続けているように感じられた。
作品が描かれたのは今から百年以上も前。
それなのに、その瞬間の空気や湿度、海から吹く風までもが絵の中に残されているようだった。
ブーダンは「空の王者」とも呼ばれ、移り変わる光や雲の表情を描き続けた画家として知られている。
後に印象派の巨匠となるエウジェーヌ・ブーダンの教え子、クロード・モネにも大きな影響を与えた存在であり、戸外で自然を見ながら描く喜びを伝えた人物でもある。
作品を眺めながら、私は少しだけブーダンの生きた時代へ想いを馳せた。
写真もスマートフォンもない時代。
目の前の景色が刻々と変化していく中で、彼はどんな気持ちで空を見上げていたのだろう。
どんな風を感じ、どんな音を聞きながら筆を動かしていたのだろう。
絵を見るということは、単に作品を見ることではなく、その向こうにいる人と静かに出会うことなのかもしれない。
百年以上の時を越えて。
あの日の雲は、今も生きていた。
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